越口の谷はかなり危険

水越峠からダイトレを金剛山方向に約1km歩くと「越口」という場所があります。

ここは元来河内側に流れていた水越川の水を、古くから栄えていた葛城側に流れを替えていたが、河内側の水需要の高まりから水争いを発端とした国境線確定の訴訟に発展し、元禄14年(1701)に葛城側勝訴となった、歴史ある場所なんですね。

水越川から分流した水はしばらく道路沿いに天井川の流れとなり、やがて越口の奈良側の谷へと落ちていきます。

今日は、越口の谷がどのようになっているのか? 実際に下りて現場を見てきました。

しかし、降りると言っても道はありませんし、奈良側の谷は崖に近い斜度のため、ロープを使って下降して行きます。

砂防堰堤まで約半分ほど下りたところです。

降りたところにある砂防堰堤。

ほとんど砂礫で埋まっています。

ダイトレを歩いている限りでは気が付きませんが、この場所は絶えず斜面が崩落し続けている現場で、数分に1回は落石の音が聞こえます。

当初はこの堰堤の場所から右に進み、水が流れ落ちる所まで行く予定をしていましたが、上記のとおり落石が頻繁に発生していることと、この堰堤の写真撮影の直後に対岸の斜面が、バサッ!ガラガラ!と、まとまった落石が発生したので、この場所は危険と判断し、直ちに登高を開始します。

登高システムを上から見る。

道路までもう少し。

越口とから祈りの滝に向かう谷は、上記の通り小規模な斜面崩落や落石が頻繁に発生していますので、谷に降りると越口を通る道路が崩落しないのが不思議なくらいです。

砂防堰堤がいっぱいになるのも時間の問題ですが、新たに堰堤を作る工事をしようにも、斜面の補強からする必要がありますので、費用が莫大なものになるでしょう。

しかし、越口の道路が崩落すれば、元来大阪側に流れていた水が奈良側に流れるようになりますので、奈良県としてはこのまま自然の成り行きに任せている、と言うのは、かなりひねくれた見方かもしれません。